ご家族を亡くされ、相続手続きに戸惑うあなたへ
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。
大切なご家族を亡くされた悲しみの中、すぐに始まってしまう相続手続きに、何から手をつけていいのか分からず、戸惑いや不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
特に、故人様名義の預貯金・株式など、金融機関(銀行・証券会社)での手続きは専門用語も多く、煩雑に感じられるかもしれません。そのお気持ちは、相続を経験される誰もが感じるものです。どうぞご自身を責めないでくださいね。
この記事では、相続手続きで必要になる残高証明書の取得方法を整理して解説します。相続手続きの第一歩ともいえる「残高証明書」の取得について、なぜ必要なのかという基本から、具体的な手順、注意点まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、残高証明書の取得に関する不安が解消され、「次に何をすべきか」が明確になり、具体的な行動計画が立てられるようになっているはずです。相続手続きの全体像については、「相続発生後の初動手続き」で体系的に解説していますので、そちらも併せてご覧いただくと、より安心して手続きを進められるでしょう。
なぜ相続で「残高証明書」が重要になるのか?
相続手続きを進める上で、なぜ「残高証明書」の取得がこれほど重要なのでしょうか。それは、残高証明書が、故人様の預貯金を正確に把握し、その後の手続きを円滑に進めるための客観的な資料になるからです。
手元にある通帳の最終残高だけでは、残念ながら十分ではありません。その後に引き落としがあったり、あるいはご自身も知らない別の口座が存在したりする可能性があるからです。金融機関(銀行・証券会社など)が公式に発行する残高証明書があってこそ、相続人全員が同じ情報を共有し、公平な話し合いを始めることができます。
具体的には、主に以下の2つの場面で重要になります。

相続人全員が納得して遺産分割協議を進めるために
遺産を誰がどのように分けるかを話し合う「遺産分割協議」。この協議を円満に進めるためには、大前提として「どれだけの財産があるのか」を相続人全員が正確に把握している必要があります。
金融機関が発行する残高証明書は、そのための客観的な資料となります。「もしかしたら、他に隠している財産があるのでは?」といった相続人間の不信感や疑念を減らし、円満な話し合いを進めるための重要な資料になります。
もし、不正確な情報のまま遺産分割協議を終えてしまうと、後から別の預金口座が見つかった場合に、また一から協議をやり直さなければならない可能性も出てきます。このような二度手間を避け、大切なご家族との関係性を守るためにも、最初に正確な財産を確定させることが何より重要になります。遺産分割は、法律で定められた相続人の範囲で話し合う必要があります。
相続税の申告が必要かどうかの正確な判断材料に
もう一つの重要な役割は、相続税の申告義務があるかどうかを判断するための基礎資料となることです。相続財産の総額が「基礎控除額」を超える場合に相続税の申告が必要となりますが、この総額を計算するためには、故人様が亡くなった日(相続開始日)時点での正確な預金残高を把握しなければなりません。
相続税申告では、預貯金の内容を確認する資料として、残高証明書の写しや預貯金通帳の写しなどを用います。残高証明書を取得しておくと、相続開始日時点の残高や定期預金の内容を確認しやすくなり、申告資料の整理にも役立ちます。残高証明書を取得すれば、普通預金だけでなく、定期預金の残高や、亡くなった日までの「経過利息(まだ記帳されていない利息)」も正確に記載されるため、申告漏れのリスクを防ぐことができます。
また、金融機関に依頼すれば、その銀行の全支店に口座がないかを調べる「名寄せ」も行ってくれるため、把握していなかった口座の存在が明らかになることもあります。相続税に関するより詳しい知識は、「相続税の基礎知識」のページで解説しています。
【実践ガイド】自分で残高証明書を取得する全手順
ここからは、ご自身で残高証明書を取得するための具体的な手順を3つのステップに分けて解説します。金融機関によって必要書類や手続きの流れが若干異なる場合があるため、まずはお取引のあった金融機関の支店に電話で問い合わせ、事前確認をするのが最もスムーズに進めるコツです。
ステップ1:必要書類を揃える【チェックリスト付】
手続きには、故人様との関係を証明する公的な書類が必要です。特に戸籍謄本は集めるのに時間がかかることもあるため、早めに準備を始めましょう。
【残高証明書 取得のための必要書類チェックリスト】
- 被相続人(亡くなった方)の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
解説:故人様が亡くなったことを公的に証明するための書類です。 - 申請者(あなた)が相続人であることがわかる戸籍謄本
解説:故人様とあなたの関係性を証明し、手続きを行う権利があることを示すための書類です。 - 申請者(あなた)の本人確認書類
解説:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きのものが望ましいです。 - 申請者(あなた)の実印と印鑑証明書(発行から3ヶ月または6ヶ月以内のもの)
解説:金融機関によっては認印で可能な場合もありますが、実印を求められるケースが多いため準備しておくと安心です。 - 故人様の通帳やキャッシュカード
解説:口座番号を特定するために必要です。見当たらない場合でも手続きは可能ですが、あった方がスムーズです。 - 金融機関所定の残高証明依頼書
解説:窓口で受け取るか、金融機関のウェブサイトからダウンロードできる場合もあります。
戸籍謄本の収集は、本籍地が遠方であったり、相続関係が複雑だったりすると、非常に手間がかかる作業です。より詳しい手順については、相続人調査や戸籍謄本の取得代行をご覧ください。

ステップ2:金融機関の窓口で申請する
書類が揃ったら、金融機関の窓口へ向かいます。事前に電話で来店日時を予約しておくと、待ち時間が少なくスムーズに対応してもらえます。
窓口では、持参した書類を提出し、「残高証明依頼書」に必要事項を記入します。その際、以下の2点を必ず伝えましょう。
- 証明基準日を「被相続人が亡くなった日」に指定すること。
相続財産は、亡くなった日の残高で確定させる必要があるためです。 - 定期預金などがある場合は「経過利息計算書」も同時に依頼すること。
相続税申告の際に必要となる、亡くなった日までの未払い利息を計算してもらうためです。
申請時には、手数料がかかります。多くの金融機関では1通あたり800円前後が目安です。残高証明書は後日郵送で届くのが一般的で、発行までには1〜2週間程度かかると考えておきましょう。
注意!申請と同時に口座は凍結されます
残高証明書の申請は、相続が発生したことを金融機関に正式に通知することを意味します。その結果、故人様名義の口座は直ちに「凍結」され、入出金や引き落としが一切できなくなります。
これは、一部の相続人が勝手に預金を引き出してしまうといったトラブルを防ぎ、故人様の財産を守るための重要な措置です。
しかし、公共料金やクレジットカードの引き落とし、家賃の支払いなどが設定されている場合、それらがすべてストップしてしまう可能性があります。事前に故人様の通帳などを確認し、定期的な引き落としがある場合は、他の口座への変更手続きなどを済ませておきましょう。
また、当面の生活費や葬儀費用などで現金が必要な場合には、相続人全員の同意がなくても一定額まで預金を引き出せる「預貯金の仮払い制度」という仕組みもありますので、覚えておくと安心です。
司法書士に依頼すべき?迷ったときの判断基準
ここまでご自身で手続きを進める方法を解説してきましたが、「やっぱり自分には難しそうだ」「忙しくて時間が取れない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。そんなとき、私たち司法書士のような専門家に依頼するという選択肢があります。
専門家に依頼する最大のメリットは、時間的・精神的な負担を大幅に軽減できることです。煩雑な戸籍の収集から、各金融機関とのやり取り、書類作成までを一括して代行するため、あなたは本来やるべきこと、例えば故人様を偲ぶ時間やご自身の生活に集中することができます。また、手続きの正確性が担保され、後々のトラブルを防ぐことにも繋がります。
【自己診断】こんな方は専門家への相談がおすすめです
ご自身の状況が専門家への依頼に適しているか、一度チェックしてみましょう。以下の項目に複数当てはまる場合は、一度ご相談いただくことをお勧めします。
- ✓ 平日に銀行や役所へ行く時間を確保するのが難しい
- ✓ 故人が取引していた金融機関の数が多く、場所もバラバラだ
- ✓ 相続人の間で少しでも意見の対立や感情的なしこりがある
- ✓ 相続手続きのことで頭がいっぱいで、精神的に疲弊している
- ✓ 預貯金以外に、不動産や株式などの財産もある
- ✓ 相続関係が複雑だ(例:前妻の子がいる、代襲相続が発生しているなど)
これらのケースでは、手続きがより複雑になる可能性が高く、専門家のサポートを受けることで、スムーズかつ円満な解決に繋がることが多いです。当事務所では遺産整理業務として、相続手続き全般のサポートを行っております。

司法書士に依頼した場合の費用と流れ
当事務所にご依頼いただいた場合、まずは無料相談にてじっくりとお話を伺います。その上で、ご事情に応じたプランと費用をご提示し、ご納得いただいた上で契約となります。
【ご依頼後の基本的な流れ】
- 無料相談・ご契約:状況をヒアリングし、委任状にご署名・ご捺印いただきます。
- 戸籍謄本等の収集代行:当事務所が相続人調査に必要な戸籍謄本をすべて収集します。
- 各金融機関への申請代行:当事務所が各金融機関とやり取りし、残高証明書を取得します。
- 財産目録の作成・ご報告:取得した証明書をもとに財産目録を作成し、結果をご報告します。
費用については、事案によって異なりますが、例えば「残高証明取得代行:1金融機関あたり〇円」といった形で、分かりやすい料金体系をご提示します。
残高証明書取得後にやるべきこと
残高証明書の取得は、相続財産を確認し、遺産分割協議や相続税申告の準備を進めるための初期手続きです。残高証明書を取得したら、次に遺産分割に向けた準備を進めます。
財産目録を作成し、相続財産全体を確定させる
取得した残高証明書や、不動産の評価証明書など、調査したすべての財産情報を一覧にまとめた「財産目録」を作成します。この財産目録は、後の遺産分割協議や相続税申告の基礎となる、非常に重要な書類です。
預貯金、不動産、有価証券といったプラスの財産だけでなく、ローンや借入金などのマイナスの財産もすべて記載し、相続財産の全体像を正確に把握します。故人に借金があった場合の調査方法についても知っておくとよいでしょう。もちろん、専門家にご依頼いただければ、この財産目録の作成まで責任をもってサポートいたします。
遺産分割協議を行い、預金の解約・名義変更へ
財産目録が完成したら、それをもとに相続人全員で遺産分割協議を行います。誰がどの財産を相続するかが決まったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめ、全員が実印で押印します。
この遺産分割協議書と、収集した戸籍謄本、各相続人の印鑑証明書などを使って、凍結された預金口座の解約や名義変更の手続きを進めていくことになります。具体的な遺産分割協議書の作成方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この預金の解約・名義変更手続きも、金融機関ごとに書類が異なり、非常に煩雑な作業です。もちろん、この段階も司法書士がまとめてサポートできますので、ご安心ください。
まとめ:相続財産調査でお困りなら、まずご相談ください
今回は、相続手続きにおける残高証明書の重要性と、その取得方法について詳しく解説しました。
円満な相続を実現するための、非常に重要な第一歩です。ご自身で手続きを進めることも可能ですが、もし少しでも時間的・精神的な負担を感じるようでしたら、どうぞ一人で抱え込まないでください。専門家を頼ることは、ご自身の負担を軽くし、手続きを正確に進めるための賢明な選択肢の一つです。
当事務所では、相続財産調査に関する手続きを幅広くサポートしております。ご依頼時には、まずはご相談をお受けください。受任いたしましたら当事務所の司法書士が各種の相続財産調査を行い、相続人様方に結果をご報告いたします。その後はその内容をもとにして遺産分割協議を進めていただくことが可能です。
相続周りで疑問や悩みがおありの場合、司法書士がお話を伺います。当事務所では、無料相談を何度でもご利用いただけます。まずはお気軽にお話をお聞かせください。あなたの不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に見つけてまいります。

