亡くなった親の不動産の調べ方|新制度と従来の方法を徹底解説

親を亡くされたあなたへ。不動産のことで、一人で悩んでいませんか?

親御さんを亡くされた直後は、精神的な負担が大きい時期かもしれません。深い悲しみの中、息つく間もなく始めなければならないのが、複雑でわかりにくい相続の手続きです。

特に、親御さんがどこに、どれだけの不動産を持っていたのかがはっきりしないと、「何か大切な財産を見落としていないだろうか」「手続きが漏れていたら、後で大変なことになるのでは…」と、不安は募るばかりですよね。

専門用語が並んだ書類を前に、何から手をつけていいかわからず、途方に暮れてしまうお気持ち、本当によくわかります。

でも、どうかご安心ください。この記事を最後まで読んでいただければ、亡くなった親御さんの不動産をどうやって調べればいいのか、その具体的な手順がはっきりと見えてきます。一人で抱え込まず、私たち専門家と一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。

【全体像】亡くなった親の不動産調査は3ステップで進めよう

不動産調査は、手順を整理して進めることで対応しやすくなります。まずは全体像を掴むために、調査をシンプルな3つのステップに分けて考えてみましょう。

  1. ステップ1:手元の資料を確認する(基本調査)
    まずはご自宅など、身近な場所にある書類(固定資産税納税通知書・権利証)から手がかりを探します。
  2. ステップ2:役所で網羅的に調べる(応用調査)
    親御さんが住んでいた市区町村の役所で、所有不動産の一覧(名寄帳)を取得します。
  3. ステップ3:法務局で登記情報を確認する(最終確認)
    全国の不動産を対象に、最新の制度(所有不動産記録証明制度)を使って漏れがないか最終チェックをかけます。

この記事では、この3つのステップに沿って、具体的な方法を一つひとつ丁寧に解説していきます。この手順で進めれば、不動産の全体像がきっと明らかになります。なお、不動産だけでなく不安であればその他の遺産、例えば借金の調査なども並行して進めることが大切です。

ステップ1:まずは手元にある書類から手がかりを探す

調査の第一歩は、親御さんのご自宅や大切なものを保管していた場所を探すことから始まります。もし以下の書類が見つかれば、不動産の特定に大きく近づくことができます。見つかった情報は、後の財産目録の作成にも役立ちますよ。

亡くなった親の遺品である古い書類の中から権利証を見つけ確認している様子

固定資産税の納税通知書・課税明細書を確認する

不動産調査において、最も基本的で重要な手がかりとなるのが「固定資産税の納税通知書」です。これは、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して、市区町村(東京23区の場合は都税事務所)から4月~6月頃に送られてくる書類です。

特に注目していただきたいのは、この通知書に同封されている「課税明細書」です。ここには、その市区町村内で親御さんが所有していた土地や家屋の情報(所在地、地番、家屋番号、評価額など)が一覧で記載されています。

まずはこの書類がないか、郵便物などを確認してみてください。ただし、注意点もあります。課税明細書に記載されるのは課税対象の不動産のみです。例えば、公衆用道路として使われている私道など、固定資産税が非課税となっている不動産は載っていない可能性が高いです。この書類だけで「すべて」とは断定できないことを覚えておきましょう。

権利証(登記済証・登記識別情報通知)を探す

次に探していただきたいのが、通称「権利証」と呼ばれる書類です。

権利証には、古い形式の「登記済証(とうきずみしょう)」と、平成17年(2005年)頃以降に発行されている新しい形式の「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」の2種類があります。

登記済証は、登記申請書の写しに法務局の「登記済」という赤いハンコが押されているものです。一方、登記識別情報通知は、緑色の様式で、大切な12桁のパスワード(登記識別情報)が目隠しシールで隠されています。

これらは不動産の所有権を証明する非常に重要な書類です。もし見つかれば、そこに記載されている不動産を確実に特定できます。

「もし見つからなかったらどうしよう…」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。権利証は紛失しても再発行はされませんが、別の方法で相続手続きを進めることは可能ですので、過度に心配なさらないでくださいね。

ステップ2:役所で所有不動産を網羅的に調べる

ステップ1で手がかりが見つからなかった場合や、調査をより確実なものにしたい場合は、市区町村役場(または都税事務所)で「名寄帳(なよせちょう)」を取得しましょう。

名寄帳とは、ある特定の人がその市区町村内に所有している不動産をすべてリストアップした一覧表のことです。固定資産税の課税明細書では漏れてしまう可能性のあった非課税の不動産(私道など)も、この名寄帳には記載されていることがあるため、より網羅的な調査が可能になります(名古屋市は記載されていません)。

ただし、名寄帳でわかるのは、あくまでその市区町村内にある不動産だけです。もし親御さんが他の市区町村にも不動産を持っていた可能性がある場合は、その地域の役所でも同じように名寄帳を取得する必要があります。

「名寄帳」の取得方法と見方

名寄帳は、誰でも取得できるわけではありません。相続人が申請する場合、一般的に以下の書類が必要になります。

  • 申請書(役所の窓口に備え付けられています)
  • 申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 親御さん(被相続人)が亡くなったことがわかる戸籍謄本
  • ご自身が相続人であることがわかる戸籍謄本
  • 手数料(市区町村によって異なりますが、数百円程度が一般的です)

申請場所は、市区町村役場の資産税課や税務課といった部署の窓口です。必要な戸籍謄本を集めるのが難しいと感じる場合は、戸籍謄本の取得を専門家に代行してもらうこともできます。

取得した名寄帳には、課税明細書と同じように、不動産の所在地、地番、地目、地積(面積)、家屋番号、床面積、評価額などが記載されています。この情報をもとに、次のステップである法務局での最終確認に進みます。

亡くなった親の不動産調査の3ステップを示した図解。ステップ1は手元の資料確認、ステップ2は役所での名寄帳取得、ステップ3は法務局での全国調査。

ステップ3:新制度で全国の不動産を一括調査する【本調査の要】

「他の市町村にも不動産があるかもしれないけど、心当たりが全くない…」
こんなとき、これまでは全国の役所を一つひとつ調べていくしかなく、相続人の方にとって非常に大きな負担でした。

しかし、令和8年(2026年)2月2日に、全国の登記情報を一定の条件で検索できる制度がスタートしました。それが「所有不動産記録証明制度」です。

この制度は、相続登記の義務化に合わせて、相続人の調査負担を軽くするために作られました。最大の特長は、「人を基準に」全国の不動産を検索できる点です。つまり、亡くなった親御さんの氏名や住所などの情報をもとに、日本全国の法務局に登記されている不動産を、一括でリストアップすることができるのです。

これまでの調査が「市区町村ごと」の点での調査だったのに対し、この新制度は「全国」を対象とした面での調査を可能にする、非常に強力なツールといえるでしょう。

参照:法務省:所有不動産記録証明制度について

所有不動産記録証明制度の申請方法と必要書類

この制度は、亡くなった方の相続人であれば申請することができます(もちろん所有者本人も可能です)。申請場所は、全国どこの法務局でも構いません。窓口での書面請求のほか、オンラインでの請求も可能です。

相続人が申請する場合の主な必要書類は、名寄帳の取得時と似ています。

  • 申請書
  • 申請者の本人確認書類
  • 親御さん(被相続人)が亡くなったことがわかる戸籍謄本
  • ご自身が相続人であることがわかる戸籍謄本
    (「法定相続情報一覧図の写し」があれば、戸籍一式の代わりに利用でき便利です)
  • 親御さん(被相続人)の住民票の除票や戸籍の除附票(被相続人の過去の住所を検索する場合)

手数料は、検索条件の数や請求通数、請求方法によって変わります(書面請求1検索1,600円)。この制度を活用することで、これまで見つけ出すことが困難だった遠方の土地や、親御さん自身も忘れていたような不動産が判明するケースも期待できます。

【最重要】この制度を使いこなすための注意点と限界

非常に便利な所有不動産記録証明制度ですが、実は知らずに使うと重大な不動産を見落としてしまう可能性がある、大きな「落とし穴」が存在します。それは、検索の仕組みにあります。

法務局のシステムは、登記簿に記録されている氏名・住所をもとに検索するため、申請書に記載する氏名・住所の内容によっては、検索結果に反映されない不動産が生じる可能性があります。これが何を意味するか、お分かりでしょうか?

例えば、親御さんが結婚して姓が変わっていたり、過去に何度も引っ越しをしていたりする場合を考えてみてください。もし、あなたが親御さんの最後の住所と氏名だけで申請してしまうと、古い住所や旧姓のまま登記されている不動産は、検索結果から漏れてしまうのです。

このリスクを減らすためには、事前に住所や氏名の履歴を確認しておくことが重要です。それは、「戸籍の附票(こせきのふひょう)」や「住民票の除票」を取得して、親御さんの生まれてから亡くなるまでの住所履歴をすべて洗い出すことです。そして、判明した過去の住所や旧姓なども含めて検索条件に加えることで、初めて調査の精度が最大限に高まります。

この点は、所有不動産記録証明制度を利用する際に注意すべき重要な確認事項です。また、不動産の住所変更登記がされていないケースは非常に多いため、注意が必要です。

さらに、この制度にも限界はあります。登記されていない建物(未登記建物)や、親御さん自身が相続したにもかかわらず名義変更をしていなかった不動産(例えば、おじい様名義のままの土地など)は、この調査では見つけることができません。これらの調査には、また別の専門的なアプローチが必要になります。

所有不動産記録証明制度の注意点。最後の住所だけで申請すると失敗するが、過去の全住所を調べて申請すると成功するという比較図解。

調査で見つかった不動産。次は何をすべき?

お疲れ様でした。ここまでのステップで、親御さんが所有していた不動産の全容が明らかになったはずです。しかし、調査はゴールではありません。次に行うべき大切な手続きが待っています。

見つかった不動産は、相続人全員で「誰がどの財産を相続するのか」を話し合い(これを遺産分割協議といいます)、その結果に基づいて法務局で不動産の名義を相続人へ変更する手続き(相続登記)を行う必要があります。

特に知っておいていただきたいのが、令和6年(2024年)4月1日から不動産の相続登記が義務化されたことです。正当な理由なく、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。

不動産の調査が終わったら、速やかに相続登記の手続きに進むことが重要です。また、不動産を含む遺産の総額によっては相続税の申告が必要になる場合もありますので、注意しましょう。

手続きが複雑で不安なときは、専門家への相談も一つの選択肢です

ここまで、亡くなった親御さんの不動産を調べる方法について解説してきましたが、「やっぱり自分一人でやるのは難しそうだ…」と感じられたかもしれません。

親を亡くされたばかりの悲しみの中で、慣れない戸籍を集めたり、役所や法務局を回ったりするのは、心身ともに大きなご負担だと思います。

そんなときは、どうか一人で抱え込まないでください。私たち司法書士のような専門家にご相談いただくことも、大切な選択肢の一つです。

ご依頼いただければ、必要なご協力をいただきながら、戸籍の収集、名寄帳や所有不動産記録証明書の取得、相続登記の申請まで、手続き全体をサポートできます。専門家が関与することで、必要な調査や手続きの見落としをできる限り防ぎやすくなり、心の負担を軽くできる場合があります。

当事務所では、相続に関する無料相談を承っております。まずは専門家と話してみるだけでも、問題点が整理され、気持ちが楽になることも少なくありません。どんな些細なことでも構いませんので、あなたの今の状況を、ぜひ一度お聞かせください。

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