先月、とある施設での相続・遺言相談会で、ある相談者の方から「法律の改正で今年から遺言書は手書きでなくパソコンで作ってもよくなったんだよね?」と聞かれました。
しかし、これは間違いです。以下、詳しく説明します。
今まで、自筆証書遺言は全文を手書きで書かなければなりませんでした。日付など、たとえほんの一部分だけ手書きでなくても無効でした。
それが、2019年1月13日から、一部手書きでなくてもよいと緩和されました。その一部手書きでなくてもよいとされたのは、「財産目録」の部分です。「財産目録」のみ、パソコンで作成したり、銀行の通帳のコピーを添付したり、不動産の登記事項証明書のコピーを添付してもよくなったのです。
自筆証書遺言の本文は、従来通りすべて手書きでなければなりません。この点に気を付けて下さい。
さらに、先日別の相続・遺言相談会ではこんなことがありました。ある相談者の方から「遺言書を書いたので持ってきたからみてほしい」といわれたのでみてみると非常によくできていました。改正により「財産目録」は手書きでなくコピーでいいことも知っておられ、不動産の登記事項証明書のコピーが添付されており、私は「すごい!」と驚かされました。
しかし、よくみてみるとその「財産目録」に不完全な部分がありました。このままではその遺言は無効でした。その不完全な部分とは、財産目録に署名・押印がない点です。
この「財産目録」には遺言者が署名・押印しなければなりません。しかもすべてのページにです。これは忘れがちです。気を付けて下さい。
まとめますと
・2019年1月13日から
・自筆証書遺言のうち、「財産目録」の部分については、手書きでなくパソコンで作成したり、銀行
の通帳のコピーを添付したり、不動産の登記事項証明書のコピーを添付したりしてもよくなった
・その「財産目録」には、全てのページに署名・押印しなければならない
一見、改正により自筆証書遺言が書きやすくなったようにおもえますが、かえって書き方が複雑になり、無効な遺言書が増えてしまうのではないかと危惧しております。やはり、確実な遺言を残すのなら少々費用はかかりますが公正証書遺言の方がよいとおもいます。公正証書遺言なら、形式・内容のチェックが入るのみならず、偽造・紛失・相続開始後に誰にも発見されないというリスクも避けられます。仮に自筆証書遺言にするにしても、書き終えたら一度専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。

遺産相続は、誰もが直面する可能性のある問題です。
「うちは財産が少ないから大丈夫」と思いがちですが、実は相続トラブルの7割以上は5,000万円以下の家庭で起きています。
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名古屋高畑駅前司法書士事務所は、相談者様の気持ちに寄り添い、専門用語を使わず丁寧に、何度でもご説明することを心がけています。
相続や遺言は、ご家族の未来を想う大切な手続きです。 誰に、何を、どう引き継ぐか。その想いを形にするお手伝いをさせていただければ幸いです。
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