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相続法改正の知識-配偶者居住権の保護について

2019-05-10

(1)短期配偶者居住権の創設による配偶者保護

相続によって住み慣れた居住建物を離れ、新たな生活を始めることは残された配偶者にとって大きな負担になると考えられ、高齢化社会の進展に伴い、残された配偶者の居住権を保護する必要性が高まりました。

配偶者が被相続人所有名義の建物に居住していた場合、被相続人が亡くなってしまうと配偶者はその建物に居住する資格を失ってしまいます。すると、例えば遺言によってその建物の所有権を取得した第三者から退去請求や使用料の請求をされると拒むことができない可能性が高いのです。また、夫が亡くなり妻と子が相続人の場合に、夫の共同相続人である子が「自分も相続人で自宅の所有権を半分持っているから母が一人で住むなら相場家賃の半分を払って下さい。それができないなら出てって下さい」と同じ共同相続人たる妻に請求してくるかもしれません。そこで、このような配偶者の居住権を保護するため、配偶者の短期居住権が創設されることになりました。

相続開始時に相続財産に無償で居住していた配偶者は、相続開始の時から最低6か月間、自宅を引き続き無償で使用することができます。被相続人の許諾を得ていたことや、被相続人と同居していたことは必要とされていません。したがって、配偶者が単身赴任などで同居していなくても大丈夫です。賃借物件には成立しません。内縁の配偶者にも成立しません。

「最低6か月間」を詳しく説明しますと、共同相続人間で遺産分割をすべき場合は、相続開始から6か月または遺産分割により居住建物の帰属が確定した日のいずれか遅い日までの間です。したがって、遺産分割が早期に成立しても相続開始から6か月間、配偶者短期居住権は認められることになります。

共同相続人間で遺産分割をすべき場合以外の場合(配偶者以外の者に相続させるとの遺言があった場合や第三者に遺贈がされた場合)は、短期配偶者居住権の消滅の申入れがされた日から6か月です。

 

(2)長期配偶者居住権の創設による配偶者保護

平均寿命の伸長により、配偶者の居住権を長期にわたり保護する必要性が高まっています。そこで、終身までの期間に対応する権利として長期配偶者居住権が創設されました。

相続開始時に、相続財産に居住していた配偶者が、遺産分割協議で配偶者居住権を合意取得したとき、または、配偶者居住権を遺贈されたときは、原則終身の間、無償で自宅を使用収益することができます

どのような場合で実益があるのかといいますと、以下のような場合です。

 

①相続人が妻と長男の2人

相続財産は自宅(評価額3,000万円)・預金3,000万円の場合         

法定相続分は妻2分の1・長男2分の1です。妻が自宅を相続すれば自宅に居住することは可能です。しかし、既に法定相続分を取得しているので預金を相続することができなくなってしまいます。もし妻自身に預金がなければ今後生活していくことができません。これでは困ります。逆に、妻が預金3,000円を相続してしまいますと、自宅はもはや相続できないので自宅に住む権利がなくなってしまいます。

 

②相続人が妻と長男の2人

相続財産が自宅(評価額3,000万円)と預金1,000万円の場合

もし妻が自宅を相続した場合、長男は預金1,000円しか手にできないので、妻は1,000万円の代償金を長男に支払わなければならなくなります。もし妻にその支払い能力がない場合、妻が自宅に居住することができなくなってしまいます。

 

そこでこの長期配偶者居住権を使うのです。居住権は通常建物そのものより価値が低いのです。自宅の所有権と居住権を分けて相続することができます。つまり改正後は、

 

①相続人が妻と長男の2人

相続財産は自宅(評価額3,000万円)・預金3,000万円の場合

例えば居住権の価値が1,500万円・居住権の負担付自宅の価値が1,500万円だったとしたら、妻が居住権(1,500万円)と預金1,500万円、長男が居住権の負担付自宅(1,500万円)と預金1,500万円を相続すれば、妻は自宅に無償で住み続けることが可能ですし生活費も得ることができます。

 

②相続人が妻と長男の2人

相続財産が自宅(評価額3,000万円)と預金1,000万円の場合

例えば、居住権の価値が1,500万円・居住権の負担付自宅の価値が1,500万円だったとしたら、妻が居住権(1,500万円)と預金500万円、長男が居住権の負担付自宅(1,500万円)と預金500万円を相続すれば妻は自宅に無償で住み続けることが可能です。

 

上述のように、改正前は妻が自宅を相続すると預金を相続できない事案があるので、居住と老後資金(生活費)を確保することが改正の理由です。

想定場面は前妻の子と後妻の遺産分割などです。通常は協議では決まらないので家庭裁判所での遺産分割審判で認められることとなると予想されます。

なお、この長期配偶者居住権は登記することが可能です。登記をすれば第三者に主張することが可能となります。

これら配偶者居住権の開始時期(施行日)は、2020年(令和2年)4月1日です。

相続法改正のポイント

2019-05-10

相続法が約40年ぶりに大幅に改正されます。相続法とは、相続についてのルールを定めた民法の第五編のことをいいます。相続法という名の法律があるわけではありません。正確には民法の改正ということです。大改正の理由は、簡潔にいいますと、時代とともに相続法の規定が市民の家族観や相続観と合わなくなってきているからです。

改正された分野は大きく分けて6つです。ここでは改正点の主なポイントを簡潔に示し、次頁以降で詳しく解説したいとおもいます。

 

1. 配偶者の居住権を保護するための方策

・短期配偶者居住権の創設による配偶者保護(2020年4月1日から)

配偶者が被相続人所有の建物に無償で居住していた場合、遺産分割によって当該建物の帰属が確定するまでの間(最低でも6か月)、引き続きその建物を無償で使用することができるようになります。

 

・長期配偶者居住権の創設による配偶者保護(2020年4月1日から)

この権利の創設により、配偶者は終身まで建物に無償で居住することが認められるようになります。

 

2. 遺産分割等に関する見直し

・特別受益の持戻し免除の意思表示の推定(夫婦間で行った居住用不動産の贈与等の保護)(2019年7月1日から)

婚姻期間が20年以上の配偶者に対する居住用不動産の生前贈与は、みなし相続財産に加えないこととなります。改正前は、遺言などでその旨を記しておかなければ遺産の先渡しを受けたものとして取り扱われ配偶者が相続時に取得できる財産が少なくなっていました。

 

・預貯金の仮払い制度の創設(2019年7月1日から)

改正前は、相続が開始すると被相続人名義の口座は凍結され、その解約には相続人全員の署名・実印での押印・印鑑証明書が必要でした。そのため相続人の中に行方不明者や非協力的な方がいると預金解約ができず、葬式費用や当面の生活費を捻出することができない事態に陥ることがありました。そこで、今回の改正により遺産分割協議成立前でも相続人の一人が単独で一定金額を引き出すことを可能にしました。

 

・遺産分割前に財産が処分された場合の不公平の是正(2019年7月1日から)

改正前は、遺産分割前に共同相続人の1人が相続財産を処分(使い込みや売却)してしまった場合、財産取得につき計算上相続人間で不公平が生じていましたが、それを是正しました。

 

3. 遺言制度に関する見直し

・自筆証書遺言の方式の緩和(2019年1月13日から)

改正前、自筆証書遺言は全文を自筆しなければ全て無効とされていました。これが遺言を書くハードルを上げ国民に遺言が浸透しませんでした。そこで、今回の改正で財産目録の部分については自筆でなくワープロやコピー添付なども可能としました。

 

・法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(2020年7月10日から)

改正前は、自筆証書遺言を自己で保管しなければならず、紛失・隠匿・偽造のおそれがあるという問題点がありました。そこで、自筆証書遺言を法務局で保管するというサービスが創設されました。
なお、この制度を利用すると遺言書の検認手続きが不要となります。

 

4. 遺留分制度に関する見直し

・遺留分の金銭債権化(2019年7月1日から)

改正前は、遺留分の請求により、目的物の返還請求として相続財産が不動産や株式等の場合、共有状態となり、いたずらに紛争を長引かせ複雑化させていました。そこで、今回の改正により遺留分権利者は侵害者に対して、物ではなく侵害相当額の金銭の支払いを請求できることとしました。

 

・遺留分算定方法の見直し(2019年7月1日から)

改正前は、相続人に対する生前贈与は時期を問わず遺留分の算定基礎に含まれることとされていました。はるか昔にされた生前贈与も遺留分を算定するための財産の基礎とされていたのです。これを今回の改正により、相続開始前10年と制限を設けました。

 

5. 相続の効力等に関する見直し

・「この財産は~に相続させる」との遺言があった場合、法定相続分を超える部分については登記等しなければ第三者に権利を主張できなくなりました。(2019年7月1日から)

これにより、相続登記をはやくすることの重要性が増しました。

 

・遺言執行を妨げる相続人の行為は善意の第三者に主張できなくなります。(2019年7月1日から)

改正前は、遺言執行者がおかれている場合に、相続人が遺言を妨げる行為を行った場合、誰に対してもその行為の無効を主張できました。それが改正後は、善意の第三者に主張できなくなります。

 

6. 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(2019年7月1日から)

相続人以外の親族(長男の嫁など)が、被相続人の療養看護等を行い被相続人の財産の維持・増加に寄与した場合、相続人に対して金銭(特別寄与料)の請求をすることができるようになりました。改正前は、相続人以外の者にこのような権利は認められていませんでした。

当然ですが、当事務所は相続法改正に対応しています。

兄弟姉妹が相続人となる場合、亡くなった方の実方・養子先双方の兄弟姉妹が相続人です

2019-04-27

今月は兄弟姉妹の方が相続人である相談が多かったのですが、なぜか似たような理由で大変なことになっている方が続きました。理由は、亡くなった方が他人の養子になっていることを考慮せず相続手続きをしようとしていたからです。

 

養子縁組をすると、養親と養子の間に相続権が発生することはご存知の方が多いです。そして、子供を養子に出した後も、実の親が亡くなった場合に、養子に出した子も実親を相続することもご存知の方が多い印象です。

しかし、兄弟姉妹が相続人の場合(ある方が亡くなってその方に子・両親がいない場合)に、実方(養子に出した方)の兄弟姉妹が、養子先の兄弟姉妹も相続人になることに気づいていない方が実に多いのです。

この場合、養子先の兄弟姉妹を関与させずに実の兄弟姉妹だけで遺産分割協議をしても無効です。あらためてやり直さなければなりません。養子先の兄弟姉妹を外して遺産分割協議をし、不動産の名義変更をしようとしてもできません。銀行で亡くなった方の預金解約をしようとしても認めてくれません。

 

亡くなった兄弟姉妹の養子先の兄弟姉妹と会ったことがない相続人も多いでしょう。亡くなって相続手続きをせず何年も放っておいた場合、さらにその兄弟姉妹も亡くなりその子・孫が相続人になってしまうと相続人の数が膨大になります。相続人が20~30人になることもざらです。連絡先も知らないことが多いでしょう。こうなると大変です。相続人であれば住所を調べることは可能です。しかし、電話番号までは調べられません。住所を調べたら、手紙を出して事情を説明し、連絡をくれるのを待つしかありません。実の兄弟姉妹とも連絡がとれないこともあるのに、見ず知らずの養子先の何人もの兄弟姉妹(あるいは子・孫)とやり取りすることは大変な労力を要します。事実上、不可能なことも多いでしょう。

 

このようにならないよう相続が発生した場合、はやく相続手続きを行いましょう。身内が亡くなったばかりで精神的につらいでしょうが、放っておくと後々大変なことになります。さらには後の自分の相続人(配偶者・子)、またさらにはその先の相続人たち(孫・ひ孫・・)にも大変な迷惑をかけることになってしまいます。

 

また、逆に、養子先の兄弟姉妹が、実方の兄弟姉妹も相続人であることを見落としていることもあります。気を付けましょう。

 

 ※これらは原則です。例外もあります。例えば、養子縁組を解消していた場合や実の親族と親族関係が切れる特別養子縁組があります。

 

 

まとめ

 

兄弟姉妹が相続人となる場合、亡くなった方の実方・養子先双方の兄弟姉妹が相続人である

 

 

誰が相続人となるのか?

2019-04-05

前回3月21日のコラムを読まれたお客さんから、「相続人に絶対に保証される取り分(遺留分)」の前にそもそも誰が相続人となるのかを説明した方がいいのではないかとアドバイスを頂きました。なるほど、私も司法書士になる前は誰が相続人となるのかを知りませんでした。そこで今回は、ある方が亡くなった場合に、誰が相続人となるのかを説明させていただきます。

 

まず配偶者は常に相続人になります

婚姻関係にある場合に限られます。内縁や離婚した元配偶者は相続人とはなりません。

配偶者以外に相続人がいない場合は配偶者だけが相続人となり、他に相続人がいれば配偶者とその者が相続人となります。

 

次に、第1順位から第3順位の相続人が決められています。第1順位の相続人がいれば第1順位の方だけが相続人です。第2順位の方は、第1順位の方がいない場合にだけ相続人となります。第3順位の方は、第1順位・第2順位の方がいない場合にのみ相続人となります。いずれの場合も配偶者は常に相続人となります。

 

第1順位の相続人は子です。

子は全員が相続人となります。子には実子のみならず養子も含まれます。

ここで注意しなければならないのは、婚外子がいる場合です。いわゆる隠し子です。実際に戸籍を調査していると隠し子がみつかることがあります。もし相続人が隠し子の存在に気づかず遺産分割をしてしまった場合、遺産分割協議のやり直しになってしまいます。遺産分割協議は相続人全員でしなければならないからです。注意しましょう。

 

もし被相続人である親よりも先に子が亡くなっていた場合、その子に子(孫)がいれば孫が相続人となります。これを代襲相続といいます。滅多にありませんが、さらに孫も先に亡くなっていて孫に子(ひ孫)がいる場合、ひ孫が相続人となります(再代襲相続)。

被相続人より「先に」子が亡くなっていた場合です。後に亡くなった場合は、単に相続が2回続いたにすぎません(2次相続)。

 

第2順位の相続人は直系尊属(父母・祖父母・・)です。

子(孫・ひ孫含)がいない場合、被相続人の父母が健在なら父母が相続人となります。養親も相続人となります。実親と養親がいる場合、ともに相続人となります(実親との縁がきれる特別養子縁組は養親だけが相続人)。

既に父母が亡くなっていても、祖父母が健在なら祖父母が相続人となります。親等の近い方から相続人となります。

 

第3順位の相続人は兄弟姉妹です。

被相続人に子(孫・ひ孫含)も直系尊属(父母・祖父母・・)もいなければ、兄弟姉妹が相続人となります。被相続人よりも先に兄弟姉妹が亡くなっており、その者に子(おい・めい)がいる場合、おい・めいが相続人となります(代襲相続)。ただ、おい・めいが亡くなっていてもさらにその子が相続人になることはありません。兄弟姉妹については再代襲相続はありません。

 

 

なお、特殊な事例ですが、第1順位の相続人である子には胎児も含まれます。父が亡くなったときに、母のお腹に胎児がいた場合、この胎児も相続人となります。ただし、生きて産まれてくることが条件です。死産の場合、他に子がいなければ親あるいは兄弟姉妹が相続人となります。

 

 

以上の者が相続人となる者です。民法という法律で定められた法定相続人です。これら以外の者は相続人とはなりません。法定相続人以外の者に財産を遺したい方、あるいは、第1順位の方がいるのに第3順位の方に財産を遺したいなどの方は「遺言」を書いておきましょう。

(※ここに記載したことはあくまで原則です。特殊な事情で相続人とならないことがあります。)

 

まとめ

・配偶者は常に相続人となる。

・子(養子含)がいれば子が相続人となる。子が先に亡くなっており孫がいれば孫が相続人となる。

・子がいなければ直系尊属(父母・祖父母・・親等の近い順)が相続人となる。

・子も直系尊属(父母・祖父母・・)もいなければ兄弟姉妹が相続人となる。先に兄弟姉妹が亡くなっていたら甥・姪が相続人となる。

 

 

相続が発生し手続きをしなければならないのだけど、誰が相続人なのかよくわからない、会ったこともない婚外子(隠し子)がいると聞いていたなど、不安な点がある方は専門家に相談してみてください。

相続人には絶対に保障される取り分(遺留分)があるの?その遺留分に反する遺言は無効なの?

2019-03-21

先日、遺言についての相談で次のような質問を受けました。

「遺言を書いて、自分の身のまわりの世話をしてくれている一番下の弟に全財産を相続させたいんだけど、他の兄弟にも最低限保障された相続分があるから遺言は無効で裁判所に訴えられると負けるんだよね?」

これは間違いです。過去にもこのような勘違いをされていた相談者の方が結構いらっしゃいました。

 

相続人には最低限の遺産の取り分が法律により認められており遺言によってもこれは侵害できない、というはなしはよく耳にするとおもいます。この相続人に最低限保障された割合のことを遺留分といいます。

しかし、この遺留分は兄弟姉妹には認められていません。遺留分は、兄弟姉妹以外の者が相続人の場合に認められるのです。つまり、配偶者・子・孫・両親などが相続人の場合に認められるのです。兄弟姉妹だけ遺留分がないのです。なぜなら相続関係が一番遠いからです。

ですから、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分を気にせず遺言により自由に財産を受け取る人を決めることができます。兄弟姉妹以外の第三者に全財産を与えることとしてもかまいません。遺言は兄弟姉妹が相続人の場合に一番威力を発揮するともいえます。

 

ところで、遺留分が認めらる者(子や配偶者など)が相続人の場合に、遺留分を侵害するような内容(愛人に全財産与えるなど)にしても遺言が無効になるようなことはありません。遺留分に反する遺言も有効です。遺留分は相続人が請求してはじめて認められるものだからです。相続人が黙っていても当然に認められるものではないのです。まずは遺言者の意思を尊重するということです。

もし、遺留分を侵害するような遺言を書きたい場合、遺言書に「付言」として、なぜこのような分配にしたのか、争わないでほしい旨を気持ちを込めて記しておきましょう。ただ、生前の関係性をよくしておくことが一番の対策です。

 ※「付言」とは、自分の希望や家族へのメッセージを記載するところで、法的拘束力はなく相続人はこれを実行する義務はありません。ただ、付言を記すことによって紛争が回避できることが多くあります。

 

ちなみに遺留分の割合ですが、基本的に相続人で遺産の半分(2分の1)をわけることになります。ただ、あまりないケースですが直系尊属(父・母)だけが相続人の場合は3分の1です。

具体的な計算方法

 

 配偶者のみの場合

  配偶者の遺留分 = 遺産の総額×1/2

 

 

 配偶者と子供2人の場合

  配偶者の遺留分 = 遺産の総額×1/2×1/2     = 1/4

  長男      = 遺産の総額×1/2×1/2×1/2 = 1/8

  次男      = 遺産の総額×1/2×1/2×1/2 = 1/8

 

 

 配偶者と子供3人の場合

  配偶者の遺留分 = 遺産の総額×1/2×1/2     = 1/4

  長男      = 遺産の総額×1/2×1/2×1/3 = 1/12

  次男      = 遺産の総額×1/2×1/2×1/3 = 1/12

  三男      = 遺産の総額×1/2×1/2×1/3 = 1/12

 

 

 配偶者と直系卑属(父・母)の場合

  配偶者の遺留分 = 遺産の総額×1/2×2/3     = 1/3

  父       = 遺産の総額×1/2×1/3×1/2 = 1/12

  母       = 遺産の総額×1/2×1/3×1/2 = 1/12

 

 

 直系卑属(父・母)のみの場合

  父の遺留分   = 遺産の総額×1/3×1/2 = 1/6

  母       = 遺産の総額×1/3×1/2 = 1/6

 

 

 配偶者と兄弟姉妹の場合

  配偶者の遺留分 = 遺産の総額×1/2  

       (※3/4×1/2=3/8ではありません。勘違いされている方が多いです。)

  兄弟姉妹    = なし

 

 

まとめ

(表記が正確ではありませんが、わかりやすいとおもいあえてこうしました)

 

 ・相続人には、相続財産について最低限保障された一定割合たる「遺留分」がある

 

 ・兄弟姉妹には遺留分はない

 

 ・遺留分を侵害する遺言も有効である

 

 ・遺留分は相続開始後に相続人たる遺留分権利者が請求してはじめて取り戻すことができる

 

 

遺言書を作成しようとおもったが遺留分のことが心配なら専門家に相談してみてください。自身のおもいが将来実現できなかったとしたら遺言を書いた意味がなくなってしまいます。

自筆証書遺言の方式緩和についての注意点

2019-03-09

先月、とある施設での相続・遺言相談会で、ある相談者の方から「法律の改正で今年から遺言書は手書きでなくパソコンで作ってもよくなったんだよね?」と聞かれました。

 

しかし、これは間違いです。以下、詳しく説明します。

 

今まで、自筆証書遺言は全文を手書きで書かなければなりませんでした。日付など、たとえほんの一部分だけ手書きでなくても無効でした。

それが、2019年1月13日から、一部手書きでなくてもよいと緩和されました。その一部手書きでなくてもよいとされたのは、「財産目録」の部分です。「財産目録」のみ、パソコンで作成したり、銀行の通帳のコピーを添付したり、不動産の登記事項証明書のコピーを添付してもよくなったのです。

自筆証書遺言の本文は、従来通りすべて手書きでなければなりません。この点に気を付けて下さい。

 

さらに、先日別の相続・遺言相談会ではこんなことがありました。ある相談者の方から「遺言書を書いたので持ってきたからみてほしい」といわれたのでみてみると非常によくできていました。改正により「財産目録」は手書きでなくコピーでいいことも知っておられ、不動産の登記事項証明書のコピーが添付されており、私は「すごい!」と驚かされました。

しかし、よくみてみるとその「財産目録」に不完全な部分がありました。このままではその遺言は無効でした。その不完全な部分とは、財産目録に署名・押印がない点です。

この「財産目録」には遺言者が署名・押印しなければなりません。しかもすべてのページにです。これは忘れがちです。気を付けて下さい。

 

まとめますと

・2019年1月13日から

自筆証書遺言のうち、「財産目録」の部分については、手書きでなくパソコンで作成したり、銀行

 の通帳のコピーを添付したり、不動産の登記事項証明書のコピーを添付したりしてもよくなった

その「財産目録」には、全てのページに署名・押印しなければならない

 

一見、改正により自筆証書遺言が書きやすくなったようにおもえますが、かえって書き方が複雑になり、無効な遺言書が増えてしまうのではないかと危惧しております。やはり、確実な遺言を残すのなら少々費用はかかりますが公正証書遺言の方がよいとおもいます。公正証書遺言なら、形式・内容のチェックが入るのみならず、偽造・紛失・相続開始後に誰にも発見されないというリスクも避けられます。仮に自筆証書遺言にするにしても、書き終えたら一度専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。

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