相続法改正の知識-自筆証書遺言の方式について

改正前、自筆証書遺言は全文を手書きで書かなければなりませんでした。本文のみならず日付など全てです。少しでも手書きでない部分があると全てが無効とされていました。

遺言は高齢者が書くことが多いのですが、高齢になってくると自書することが難しくなってきます。文字も乱れがちになりせっかく遺言を書いても読み取れないこともあります。ですから、全文手書きを要求する制度は厳格すぎるのではないかという指摘がされていました。国は相続争いを防ぐため自筆証書遺言を活用させたかったのですが、この全文手書きの方式が負担で遺言は一向に広まりませんでした。

そこで、高齢者にとって負担を軽減するため、法改正により自筆証書遺言の方式の緩和をおこないました。自筆証書遺言について一部手書き以外の方法によることが認められたのです。手書き以外の方法でもよくなった部分とは、遺言本文に別添する「財産目録」(財産の特定に関する事項)です。全文ではありません。財産目録の部分についてだけです。

財産目録に記載すべき事項は、土地であれば「所在・地番・地目・地積」、預貯金であれば「金融機関名・支店名・口座番号」です。

財産目録は、方式は特に決められていません。他人の手書き・ワープロでの作成・不動産であれば登記事項証明書・預貯金なら通帳のコピーなどで大丈夫です。

そして、注意しなければならないのはその財産目録には遺言者が署名・押印しなければなりません。すべての目録頁にです。署名・押印がないと無効になってしまいます。

 

この自筆証書遺言の方式の緩和の開始時期(施行日)は、2019年(平成31年)1月13日です。

 

上述のように、法改正により自筆証書遺言はかなり負担が減り書きやすくなりました。ただ、手書きでなくてもよくなったのは財産目録部分についてだけであり、そもそも自分で用意した財産目録が本当に正しく有効なものなのか判断に迷うこともあるかとおもいます。改正後も自筆証書遺言は厳格な様式であることにはかわりなく、少しでも様式に則していなければ無効となって、書いた意味がなくなってしまいます。不安であれば専門家に相談することをお勧めします。

 

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