農地(田・畑)を相続し名義変更(相続登記)をしたら、農業委員会へ届出をしてください。
届出先は、相続した農地のある市町村の農業委員会です。
相続した農地が複数あり、同じ市町村ではない場合、それぞれの市町村に届出しなければなりません。
期限は、被相続人が亡くなってから10カ月以内です。
平成21年12月15日に農地法が改正され、この日以降に亡くなった方が農地を所有していた場合、この農地を相続すると管轄の農業委員会に届出をすることが義務化されました。
それまでは農地を売買や贈与で取得する際には農業委員会の許可や届出が必要とされていましたが、農地を相続しても農業委員会への届出は不要とされていました。したがって、農地の相続があっても農業委員会で農地の所有者が代わったことを把握できない状況でした。それが原因で、誰の農地かわからない「耕作放棄地」が増加し、社会問題となりました。これを解消するために届出が義務化されたのです。
この届出は義務です。怠ると罰則があります。10万円以下の過料(罰金のようなもの)を支払わなければなりません。
もし農地を利用するつもりがない場合、相続人の希望があれば、農業委員会は農地の利用を促進するためのあっせんなどもしてくれます。
届出の際には、相続登記した後の登記事項証明書(登記簿謄本)や遺言書・遺産分割協議書など、誰が農地を相続したのかがわかる書類が必要です。
許可ではなく届出ですので、農業委員会による審査はありません。
なお、遺言で相続人以外の者に農地を遺贈する場合、届出ではなく農業委員会の「許可」が必要となる場合があります。具体的には、包括遺贈(例、全財産を愛人に遺贈する)の場合には許可は不要ですが、特定遺贈(例、A農地を愛人に遺贈する)の場合には許可が必要となります。もちろんこの「許可」には審査があるため要件から外れると認められません。この点についてはまた別の機会に述べさせていただきたいとおもいます。
まとめ
農地を相続したら10か月以内に農業委員会へ届出しなければならない
農地の相続について不安な方は専門家に相談してみてください。