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未成年者の相続手続きを司法書士が解説|特別代理人が鍵

2025-11-13

相続人に未成年者がいる場合、手続きが特別になる理由

ご家族が亡くなられ、相続の手続きを進めようとしたとき、相続人の中に未成年のお子さまやお孫さまがいらっしゃる場合、普段の相続手続きとは少し異なる特別な配慮が必要になります。いったいなぜなのでしょうか?

その理由は、未成年者は法律上、単独で重要な契約を結んだり、財産に関する法律的な決定をしたりする「法律行為」ができない、という大切なルールがあるからです。例えば、お子さま名義の携帯電話を契約するとき、親御さまが代理で手続きをしますよね。それと同じように、誰かの財産をどう分けるかを決める「遺産分割協議」も、非常に重要な法律行為の一つなのです。

未成年者は遺産分割協議に直接参加できない

遺産分割協議は、相続人全員が集まり、「誰が、どの財産を、どれくらい相続するのか」を話し合って、全員で合意しなければ成立しません。これは、相続人一人ひとりの権利に関わる、とても大切な手続きです。

しかし、まだ社会経験や判断能力が十分でないとされる未成年者が、複雑な法律や財産の価値を理解し、ご自身の権利をしっかりと主張するのはとても難しいことです。そのため、法律は未成年者を守るために、遺産分割協議に直接参加することを認めていないのです。

原則は親権者(法定代理人)が手続きを代行する

では、未成年者はどうすればよいのでしょうか。原則として、親権者(お父さまやお母さま)が「法定代理人」として、お子さまに代わって遺産分割協議に参加したり、必要な書類に署名・押印したりします。

「なるほど、親である私が子どもの代わりにやればいいんだな」と思われるかもしれません。ほとんどの場合はその通りなのですが、相続のケースによっては、親御さまであっても代理人になれない、特別な状況が存在します。それが、この記事で最も重要なポイントとなる「利益相反」という問題です。

要注意!親が代理人になれない「利益相反」とは?

「利益相反(りえきそうはん)」という言葉は、少し難しく聞こえるかもしれません。簡単に言うと、「一方の利益になると、もう一方の不利益になってしまう関係」のことです。

相続手続きにおいて、お子さまの代理人である親権者自身も相続人である場合、まさにこの利益相反の関係にあたります。例えば、お父さまが亡くなり、相続人がお母さまと未成年のお子さまだったとしましょう。このとき、お母さまが「自分の相続分を多くして、子どもの相続分を少なくする」という内容の遺産分割協議を決めてしまうことができてしまいます。これでは、お子さまの正当な権利が守られません。

このように、親御さまご自身の利益とお子さまの利益がぶつかってしまう可能性があるため、法律はこのようなケースで親権者がお子さまの代理人になることを禁止しているのです。

利益相反を象徴する、2つの人影が光の線で隔てられている概念的な画像。未成年者の相続における親と子の利益が対立する状況を表している。

利益相反にあたる具体的なケース

ご自身の状況が利益相反にあたるかどうか、具体的なケースを見てみましょう。

  • 母親と未成年の子が相続人になるケース
    夫が亡くなり、妻と未成年の子が相続人になる、最も典型的なパターンです。妻が多く財産をもらえば、子の取り分は減るため、利益相反となります。
  • 複数の未成年の子を、一人の親が代理するケース
    例えば、相続人が未成年の長男と次男の二人で、親権者である母親が二人の代理人になる場合です。長男に多くの財産を相続させると次男の取り分が減るため、子どもたちの間でも利益が対立します。この場合、母親は二人の代理人にはなれません。
  • 親は相続財産を取得し、未成年の子は相続放棄をするケース
    親は相続するのに、お子さまだけが相続放棄をする場合、「親が自分の相続分を増やすために、子に放棄をさせているのではないか」とみなされ、利益相反にあたる可能性があります。

利益相反の場合、「特別代理人」の選任が必須

では、利益相反にあたる場合、どうすれば手続きを進められるのでしょうか。そこで登場するのが「特別代理人(とくべつだいにん)」です。

特別代理人とは、その特定の遺産分割協議のためだけに、家庭裁判所によって選ばれる、未成年者の臨時的な代理人のことです。親権者に代わって、純粋に未成年者の利益だけを考えて、遺産分割協議に参加し、書類への署名・押印などを行います。

この特別代理人を選任する制度があるからこそ、利益相反の状況でもお子さまの権利がしっかりと守られ、公平な相続手続きを進めることができるのです。

特別代理人選任の手続きと流れを5ステップで解説

特別代理人は、自動的に誰かがなってくれるわけではありません。親権者などが家庭裁判所に「特別代理人を選んでください」と申立てをする必要があります。ここでは、その手続きの流れを5つのステップに分けて、わかりやすく解説します。

STEP1:特別代理人の候補者を決める

まず、誰に特別代理人になってもらうか、候補者を決めます。候補者に法律などの特別な資格は必要ありません。相続人以外の方で、お子さまのために公平な判断ができる方であれば大丈夫です。一般的には、祖父母やおじ・おばといった他の親族にお願いするケースが多いです。

もし、候補者として適当な親族が見つからない場合や、より中立的な立場の人にお願いしたいという場合には、司法書士や弁護士などの専門家を候補者にすることも可能です。私たちのような専門家が候補者となることで、その後の手続きもスムーズに進められるという利点があります。

STEP2:必要書類を収集する

次に、家庭裁判所へ申立てるための書類を集めます。一般的に必要となるのは、主に以下の書類です。

  • 申立書(家庭裁判所のウェブサイトから取得できます)
  • 未成年者と親権者の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
  • 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)
  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本など、相続関係がわかる書類一式

特に重要なのが「遺産分割協議書案」です。これは、「特別代理人が選ばれたら、このような内容で遺産分割をする予定です」という計画書のようなものです。この案の内容が、未成年者にとって不利なものでないかを家庭裁判所は厳しくチェックします。

STEP3:家庭裁判所へ申立てを行う

書類がすべて揃ったら、いよいよ家庭裁判所へ申立てを行います。申立て先は、親権者や候補者の住所地ではなく、「未成年者のお子さまの住所地」を管轄する家庭裁判所です。間違えないように注意しましょう。

申立てにかかる費用は、未成年者1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手代(数千円程度)です。

STEP4:家庭裁判所による審理

申立てが受理されると、家庭裁判所は提出された書類に基づいて審理を開始します。審理といっても、法廷に呼ばれるようなことは通常ありません。裁判官が書類を審査し、特に「遺産分割協議書案の内容が、未成年者の利益をきちんと守るものになっているか」という点を重点的に確認します。

内容に不明な点があれば、家庭裁判所から追加の書類提出を求められたり、候補者の方へ「照会書」という形で質問状が届いたりすることもあります。

ここで、私たち司法書士が実務で強く感じていることをお伝えさせてください。

家庭裁判所は、未成年者の利益が害されないかを厳格に審査します。場合によっては協議案の修正を求めたり、認められないことがあります。「親である私がしっかり面倒を見るから、財産は私が多めにもらっておきます」というお気持ちは、親心として痛いほどよくわかります。しかし、法律の手続き上、その「気持ち」は通用しないのです。裁判所はあくまで、「その子自身の法定相続分がきちんと確保されているか」を客観的な基準で判断します。この点を最初から理解して協議案を作成することが、手続きをスムーズに進める何よりの秘訣です。

STEP5:審判が下り、選任が確定する

審理の結果、候補者が特別代理人として適任であり、遺産分割協議書案の内容も問題ないと判断されると、家庭裁判所から「審判書」という決定通知書が送られてきます。この審判書が届けば、正式に特別代理人が選任されたことになります。

この審判書は、その後の不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約手続きなどで、特別代理人が権限を持っていることを証明する公的な書類となりますので、大切に保管してください。

申立てから選任が確定するまでの期間は、家庭裁判所の混み具合にもよりますが、おおよそ1ヶ月から2ヶ月が目安です。

参考:特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)

特別代理人選任後の遺産分割協議と注意点

無事に特別代理人が選任されたら、いよいよ遺産分割協議を進めていきます。親権者は協議に参加しますが、未成年のお子さまの代理人として署名・押印するのは、親権者ではなく選任された特別代理人です。

家庭裁判所に提出した遺産分割協議書案の内容で正式な遺産分割協議書を作成し、相続人全員と特別代理人が署名・実印の押印をします。これで遺産分割協議は法的に成立し、特別代理人の任務はその時点で終了となります。

遺産分割協議書には法定相続分以上の取得を明記する

家庭裁判所の審理をスムーズに進めるための最も重要なポイントは、遺産分割協議書案を作成する段階で、未成年者が少なくとも法律で定められた「法定相続分」以上の財産を取得する内容にすることです。

例えば、相続人が母と子1人の場合、法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。この場合、お子さまが全遺産の2分の1以上の価値がある財産を取得するような案を作成する必要があります。これが、未成年者の利益を守るという特別代理人制度の趣旨に最も合致する方法であり、家庭裁判所も認めやすいのです。

通常、特別代理人が関与して成立した遺産分割協議は強い法的効力を有しますが、詐欺・強迫・重大な手続違反など特段の事情がある場合には争われる余地があります。

家庭裁判所という公的な機関の監督のもと、特別代理人が関与して成立した遺産分割協議は、非常に強い法的効力を持ちます。

そのため、後になって「やっぱりあの内容は不利だった」と未成年者本人が考えたとしても、成人した後にその遺産分割協議を覆す(無効にする)ことは、原則としてできません。それだけ、特別代理人を選任する手続きは重みのあるものだということです。だからこそ、最初の遺産分割協議書案の作成が非常に重要になるのです。

遺産分割協議書に署名し、実印を押している様子の写真。特別代理人が関与した法的に有効な合意の成立をイメージさせる。

特別代理人が不要となるケースとは?

ここまで特別代理人の重要性についてお話ししてきましたが、未成年者の相続が関わるすべてのケースで選任が必要なわけではありません。ここでは、特別代理人が不要となる主なケースをご紹介します。

遺言書で遺産の分け方が指定されている場合

亡くなった方が遺言書を残しており、その遺言書に「長男に不動産を、妻に預貯金を」というように、財産の分け方が具体的に指定されている場合は、相続人間で遺産分割協議を行う必要がありません。協議がなければ利益相反も生じませんので、特別代理人の選任は不要です。

未成年者が相続放棄をするが、親は相続しない場合

例えば、親権者である母がすでに相続放棄をしていて相続人ではなく、その後に未成年の子が相続放棄をするような場合です。この場合、母と子の間に利益相反の関係はないため、母が法定代理人としてお子さまの相続放棄の手続きを進めることができます。

ただし、先ほども触れたように、親は相続するのに子だけが相続放棄をする場合は利益相反にあたる可能性が高いため、注意が必要です。

法定相続分どおりに相続する場合

遺産分割協議をせず、法律で定められた割合(法定相続分)のとおりに財産を分ける場合も、利益相反は生じません。例えば、不動産を法定相続分の割合で共有名義にする相続登記を行うだけであれば、特別代理人は不要です。

しかし、預貯金の解約手続きなどでは、金融機関から実務上、相続人全員の合意を示す遺産分割協議書を求められることがほとんどです。そのため、この方法が使える場面は限定的かもしれません。

祖父母、親、子の三世代の手が重ねられている写真。特別代理人の候補者となる親族の協力や家族の絆を表現している。

未成年者の相続に関するよくある質問

ここでは、未成年者の相続手続きに関して、お客さまからよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 未成年の子どもが複数いる場合、特別代理人はそれぞれ必要ですか?

はい、原則としてお子さま一人ひとりについて特別代理人を選任する必要があります。

例えば、相続人が母、未成年の長男、未成年の次男の場合、長男と次男の間でも利益が対立する関係になります。そのため、長男の特別代理人と次男の特別代理人、それぞれ別の候補者を探して選任申立てを行うのが原則です。同じ人が複数の子の代理人にはなれません。

Q. もうすぐ18歳になるのですが、成人するのを待つべきですか?

お子さまが成人年齢(現在は18歳)に達すれば、ご本人が遺産分割協議に参加できるため、特別代理人を選任する必要はなくなります。

もし、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに十分な時間があり、お子さまがご自身の意思で判断できる年齢に近いのなら、成人を待つというのも一つの有効な選択肢です。ただし、申告期限が迫っている場合や、他の相続人との兼ね合いですぐに手続きを進めたい場合は、待たずに特別代理人選任の手続きを進めるべきでしょう。

Q. 相続税の「未成年者控除」とは何ですか?

未成年者が財産を相続した場合、相続税の負担を軽くするための「未成年者控除」という制度があります。これは、その未成年者が18歳になるまでの年数1年につき10万円が、納めるべき相続税額から差し引かれるというものです。

例えば、15歳のお子さまが相続人になった場合、「(18歳-15歳)× 10万円 = 30万円」が控除されます。相続税がかかるかどうかご心配な方は、私に相続税はかかるの?のページも参考にしてください。ただし、具体的な税額の計算や申告については、税理士の専門分野となります。

まとめ:未成年者の相続手続きは司法書士へご相談ください

今回は、相続人に未成年者がいらっしゃる場合の手続きについて、特に「特別代理人」を中心に解説しました。

  • 未成年者は遺産分割協議に直接参加できないため、代理人が必要。
  • 親権者も相続人である場合、「利益相反」にあたるため代理人になれない。
  • その場合は、家庭裁判所で「特別代理人」を選任する必要がある。
  • 特別代理人選任の手続きには、遺産分割協議書案の作成など専門的な知識が求められる。

お子さまの権利を守るための大切な手続きですが、戸籍謄本をたくさん集めたり、裁判所に提出する書類を作成したりと、ご自身で進めるには時間も手間もかかり、不安に感じることも多いかと思います。

当事務所は、特別代理人候補者のご紹介や申立書作成の支援を行うことが可能です。ただし、特別代理人の選任は家庭裁判所の裁量であり、候補者が選任されるかは裁判所の判断によります。

何より大切にしているのは、お客さまのお話をじっくりと伺い、法律家っぽくない親しみやすさで、ご不安な気持ちに寄り添うことです。ご相談は無料(時間制限なし)です。まずはお気持ちをお聞かせいただくことから始めませんか。どうぞお気軽にご連絡ください。

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不動産の相続登記(相続による名義変更)が義務化されました

2024-08-02

2024年(令和6年)4月より不動産の相続登記(相続による名義変更)が義務となりました。

今までは不動産の相続登記(相続による名義変更)が放置されることがしばしばあり、登記記録からは所有者がわからない所有者不明土地が増加し社会問題となりました。所有者不明土地は全国に410万ヘクタールあるといわれており九州の面積以上に膨れ上がっているのです。これを解決するため不動産の相続登記(相続による名義変更)が義務となったのです。

自身が相続したことを知った日より3年以内に不動産の相続による名義変更をしなければなりません。もし不動産の登記名義人が2024年(令和6年)4月より前に亡くなっている場合は、2024年(令和6年)4月より3年以内です。

もし正当な理由がないのに不動産の相続登記(相続による名義変更)を怠ると罰則があります。10万円以下の過料が科せられます。

そのためか最近は不動産の相続による名義変更のお問い合せ・依頼が多いです。しかし、中には何十年も相続による名義変更を放置し、相続が繰り返され相続人が数十人となっていたり、行方不明の方がおられたりなど残念ながら事実上名義変更ができない案件にも出くわしています。

このようなことにならないよう相続が開始したらすぐに不動産の相続登記(不動産の相続による名義変更)をすべきなのです。

 

では、もし長年不動産の相続による名義変更を放置していたなどの事情により名義変更に時間がかかり3年以内にできない場合はどうすればいいのでしょうか?

長年放置された不動産は相続人が膨れ上がり、相続人調査に時間を要し、相続人全員で遺産分割協議をおこなわなければならず名義変更をするのも膨大な時間を費やすことが多いはずです。あるいは相続人に連絡がつかず止まってしまうこともあり3年以内に名義変更をおこなうことが困難なこともありえます。

そこで「相続人申告登記」という制度も同時に新設されました。

「相続人申告登記」とは、法務局に所有権登記名義人が亡くなったこと及び自身が相続人であることを申告する簡易手続きで、相続申請義務を履行したものとみなされる制度です。 過料の対象からも外されます。自己だけが登記名義人の相続人の1人であることを証明できればよいのでそれほど時間は要しないはずです。

登記簿には、登記名義人の死亡と申出のあった相続人の住所・氏名が記載されますが所有権移転を示すものではありません。そこで遺産分割協議成立の日から3年以内に相続登記しなければなりません。

どうしても不動産の相続による名義変更が3年以内にできそうにない場合、この「相続人申告登記」をすることになります。ただ「相続人申告登記」は取り急ぎ義務の履行をしたことにし過料を科せられなくなるにすぎません。当該不動産を売却などする場合には相続による名義変更をしなければなりません。

 

以上のように、不動産の相続による名義変更を放置しておくと大変なことになります。自分は亡くなれば困りませんが、この問題は自分の子や孫へ代々引き継がれていきます。

ですから不動産の相続登記(不動産の相続による名義変更)は放置せずなるべくはやくするようにしましょう。

 

不安な方は専門家に相談してみてください。

 

2024年(令和6年)4月1日より相続登記(相続による不動産の名義変更)が義務化されます

2022-06-28

2024年(令和6年)4月1日より相続登記(相続による不動産の名義変更)が義務化されます。

 

今まで義務ではなかったのか?とおもわれる方もいらっしゃるとおもいます。しかし、2022年6月現在、不動産の権利についての登記は義務ではありません。ただ、不動産を購入するときや新築建物を建てた場合に、所有権の登記をしないなんてことはまずありません。不動産会社が売買の仲介をするときや銀行にて住宅ローンを組む場合に登記することが条件となっているからです。売買や新築建物の所有権の登記は事実上義務と言っても過言ではありません。ですから不動産登記(名義変更)は義務とおもっている方も結構いらっしゃるとおもいます。

それとは異なり相続の場合、不動産業者や銀行が絡むことは通常ないので相続登記をせず放置されていることも多いのです。理由は、面倒だから放置、相続人間で揉めて手つかずなどですが、そもそも相続登記をするなんてこと自体を知らない方もいらっしゃいます。

これにより登記記録からは所有者がわからない所有者不明土地が増加し社会問題にまでなっています。皆さんも一度はテレビなどでみたことがあるのではないでしょうか?所有者不明土地は全国に410万ヘクタールあるといわれており九州の面積以上に膨れ上がっているそうです。この経済的損失は年間1,800億円といわれています。

 

なぜ所有者不明土地は困るのでしょうか?

・開発計画が立ち上がってもそこに所有者不明土地があると所有者の探索に時間と費用がかかる。

・公共事業や復旧、復興事業がすすまない。

ということがあげられます。

 

所有者不明建物は、空家が倒壊しそうになっていても所有者の探索に時間がかかりその間に倒壊し人にケガを負わせるかもしれないということなどが問題です。いわゆる空き家問題です。

 

登記名義人に相続が開始し、更にその相続人が死亡、相続が何次も重なり相続人の数が膨大に膨れ上がると、戸籍取得など相続人調査に膨大な時間と費用がかかってしまいます。

連絡がつかない相続人がいるとそこで手続きは止まってしまいます。

高齢化の進展による死亡者数の増加により今後ますます深刻化するおそれがあります。

 

そこで、相続登記を義務化することになったのです。

正確には、以下の登記です。

・「相続」を原因とする所有権移転登記

・「遺言」を原因とする所有権移転登記(遺言でも取得する者が法定相続人でなければ義務ではない)

 

期限は、自己のために相続の開始を知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

 

義務を怠ると罰則(ペナルティ)があります。

もし正当な理由がないのにこの義務に反すると10万円以下の過料の制裁対象となります。

なお刑罰でないので前科にはなりません。

 

施行されるのは2024年(令和6年)4月1日からです。

施行日より前に開始した相続についても適用されます。施行日前に開始した相続については、施行日あるいは自己のために相続の開始を知り、かつ、不動産の所有権を取得したこ

とを知った日のいずれか遅い日より3年以内に相続登しなければなりません。

 

 

ということで相続登記は放置せずなるべくはやくするようにしましょう。

 

不安な方は専門家に相談してみてください。

農地を相続したら農業委員会への届出が必要です

2020-02-10

農地(田・畑)を相続し名義変更(相続登記)をしたら、農業委員会へ届出をしてください。
届出先は、相続した農地のある市町村の農業委員会です。
相続した農地が複数あり、同じ市町村ではない場合、それぞれの市町村に届出しなければなりません。
期限は、被相続人が亡くなってから10カ月以内です。

 

平成21年12月15日に農地法が改正され、この日以降に亡くなった方が農地を所有していた場合、この農地を相続すると管轄の農業委員会に届出をすることが義務化されました。
それまでは農地を売買や贈与で取得する際には農業委員会の許可や届出が必要とされていましたが、農地を相続しても農業委員会への届出は不要とされていました。したがって、農地の相続があっても農業委員会で農地の所有者が代わったことを把握できない状況でした。それが原因で、誰の農地かわからない「耕作放棄地」が増加し、社会問題となりました。これを解消するために届出が義務化されたのです。

 

この届出は義務です。怠ると罰則があります。10万円以下の過料(罰金のようなもの)を支払わなければなりません。

 

もし農地を利用するつもりがない場合、相続人の希望があれば、農業委員会は農地の利用を促進するためのあっせんなどもしてくれます。

 

届出の際には、相続登記した後の登記事項証明書(登記簿謄本)や遺言書・遺産分割協議書など、誰が農地を相続したのかがわかる書類が必要です。

 

許可ではなく届出ですので、農業委員会による審査はありません。
なお、遺言で相続人以外の者に農地を遺贈する場合、届出ではなく農業委員会の「許可」が必要となる場合があります。具体的には、包括遺贈(例、全財産を愛人に遺贈する)の場合には許可は不要ですが、特定遺贈(例、A農地を愛人に遺贈する)の場合には許可が必要となります。もちろんこの「許可」には審査があるため要件から外れると認められません。この点についてはまた別の機会に述べさせていただきたいとおもいます。

 

まとめ
 農地を相続したら10か月以内に農業委員会へ届出しなければならない

 

農地の相続について不安な方は専門家に相談してみてください。

相続開始後の保険金の受け取り忘れに注意しましょう

2020-01-22

先日たまたま保険会社にお勤めの方とお話しする機会がありました。その方によると、保険金が誰の手にも渡らないままになっていることが増えているそうです。保険金のもらい忘れです。
生命保険をかけていた方が亡くなって保険金を受け取ることが可能になっているのにもかかわらず、その方が生前家族に生命保険に入っていることを知らせていなかったため、手続きがされず宙に浮いている保険が多いとのことです。その額は数十兆円にもなるそうです。

 

生命保険に入っており被保険者が亡くなったとしても、こちらからなにもしないのに保険会社が自ら保険金を支払ってくれることはまずありません。保険会社は被保険者が亡くなったことを把握できないからです。被保険者が亡くなったら、こちらから保険会社に連絡して保険金の請求をしなければなりません。

 

相続人の中に同居の配偶者がいればその配偶者は保険のことを知っていることが多いのですが、遠くに住んでいる子供の場合そのことを知らないことも多いのです。遠方に住んでいる子供は仕事などでなかなか実家に戻ってくることも難しく、実家にある保険証券を発見できずゴミと一緒に廃棄してしまうなんてこともあるようです。

 

保険金は、支払事由が発生した日(死亡の日など)の翌日から起算して3年が経過すると時効になってしまいます(保険法)。時効になると保険金を受け取れなくなってしまいます。

もし相続開始後3年経過した後に保険金の存在に気付いたとしても諦めず請求しましょう。なかには3年経過後時効になっても保険金を支払ってくれる保険会社もあるのです。

 

保険は入ったら終わりではありません。
昔は「自分が亡くなったときのサプライズ!」なんていう人も多かったそうです。また、「自分はまだ元気だから何年か先に伝えよう」とおもっていても認知症になって伝え忘れてしまう方も多いそうです。
保険金の存在が家族に気付かれなければ無意味です。残された家族に確実にお金を残すために、保険に入ったらしっかり家族に伝えておきましょう。

 

残された相続人の方は、被相続人が生命保険に入っていなかったかどうか念入りに調べましょう。

生命保険金は遺留分の対象になるのか?

2019-10-18

よく相続の相談で「生命保険金は遺留分の対象になるの?」との質問を受けます。
結論からいいますと、生命保険金は遺留分の対象に原則なりません。

 

遺留分とは、相続人のために確保される法律上最低限度認められる取り分です。兄弟姉妹以外の相続人に認められています。遺言により愛人など相続人でない者や一部の相続人に全財産を与えるとされていても、遺産をもらえなかった兄弟姉妹以外の相続人は、遺言の一部無効を主張して遺留分の請求をすることが可能です。

例えば、遺言により遺産が相続人間で平等に分けられていたとしても、被相続人が一部の相続人を受取人として生命保険に加入していた場合、この保険金額を合わせると相続人間で不平等になることがあります。しかし、生命保険金は相続財産ではありません。保険金は受取人の固有の財産だからです。したがって、遺留分も生命保険金は除外して計算することになり、生命保険金は遺留分の対象になりません。遺言に「兄弟半分ずつ相続させる」とあり、これとは別に長男だけを受取人として生命保険がかけられていたとしても弟の遺留分は認められません。

 

生命保険金は遺留分の対象にならないといいましたが、実は例外があります。他の相続人との間に著しく不公平が生じている場合、例外的に生命保険金も遺留分の対象になります。遺産に対して保険金額が著しく高額な場合などです。遺産がほぼないのに一部の相続人だけを受取人として高額の保険契約をしていた場合などです。その他、被相続人との同居状況や介護の貢献度・後妻との婚姻期間などが考慮されます。
しかし、生命保険金が遺留分の対象になるのはあくまで例外です。実際に認められることはあまりありません。

 

以上のおはなしは、保険金の受取人が被相続人ではない場合です。もし保険金の受取人が被相続人だった場合は遺留分の対象になります。保険金の受取人が被相続人の場合、保険金は被相続人の財産であり相続人固有の財産ではありません。この保険金は相続財産となります。この場合の保険金は相続人に相続されるから相続人は保険金を受け取れるのです。

もし相続対策のためにこれから生命保険に加入しようとおもっている方は保険金の受取人に注意してください。ここでは触れませんが上記の問題以外にも税額がかわってきます。すでに保険に加入しており受取人を被相続人(自分)にしている場合は受取人を相続人に変更することも検討してください。

 

はなしはそれますが最後に注意点として、遺留分対策として生命保険に加入する際に受取人を「遺留分権利者」にすると考える方がおられますがこれは正しいとはいえません。上述のように生命保険金は相続財産から離脱するので遺留分権利者は生命保険金を受け取った後もさらに遺留分請求をすることができてしまいます。遺留分対策として生命保険に加入する場合には受取人を遺産の承継者にしておいた方が確実です。

遺留分権利者を受取人として、遺留分権利者の感情を抑え遺留分権の行使をしないよう生前に説得しておくというやり方もありますが確実ではありません(よくこの方法は取られていますが)。

 

まとめ
・生命保険金は遺留分の対象に原則ならない
・例外的に他の相続人との間に著しく不公平が生じている場合は遺留分の対象となる
・保険金の受取人が被相続人の場合には保険金は相続財産なので遺留分の対象となる

 

保険金について遺産分割の対象となるのか、遺留分の対象になるのか、不安な方は専門家に相談してみてください。

遺産分割前に相続人の1人からでも預金の払戻しができるようになりました

2019-08-22

令和元年7月1日から法律の改正により、亡くなった方名義の預金払戻しを相続人のうちの1人からでもできるようになりました。

ある方が亡くなった場合、その方名義の銀行の預金口座は凍結されます。この預金口座の払戻しをするには、相続人全員の関与が必要でした。相続人全員の署名・押印・印鑑証明書が必要だったのです。相続人全員の関与がないと預金の払戻しは一切できませんでした。1円たりともです。
相続で揉めて遺産分割協議がまとまらない場合や相続人の中に行方不明者がいた場合、預金の払戻しができませんでした。これにより預金の払戻しをあきらめざるをえなかった方が大勢いらっしゃいました。葬儀費用を亡くなった方名義の預金口座から支払うつもりだった場合、支払えなくなってしまいます。亡くなった夫の預金口座から生活費を捻出していた場合は生活が成り立たなくなってしまいます。

このような不都合を解消するため遺産分割前の相続預金の払戻し制度(預貯金の仮払い制度)が創設されたのです。これにより、相続で揉めて遺産分割協議がまとまらない場合や相続人の中に行方不明者がいる場合などに、相続人のうちの1人からでも預金口座の払戻しができるようになりました。
ただし、預金の全額ではありません。上限が設けられています。具体的には以下の額です。

① 相続開始時の預金額 × 3分の1 × 払戻しを行う相続人の法定相続割合
② 1つの金融機関につき150万円まで

上記①と②のいずれか低い方の額です。

例えば、預金が900万円あり、相続人は妻と子の2人である場合、
900万円×3分の1×2分の1(法定相続分)=150万円 を妻・子はそれぞれ単独で
払戻すことができます。

どんなに預金の額が大きくても1つの金融機関からは150万円までしか払戻しすることができません。
ある金融機関で150万円払戻しても、他の金融機関に預金があればそちらでも払戻しすることができます。
結果として、1つの金融機関に全額を預けていた場合より、複数の金融機関に分散させて預けていた方がたくさん払戻しすることができるということがありえます。

令和元年7月1日からはじまった制度ですが、それ以前に相続が開始していた場合にも適用があり払戻し可能です。
令和元年6月30日より前に、1人で金融機関に払戻し手続きをこころみて断られていた方もいらっしゃるとおもいますが、再度払戻し手続きをしてみてください。
必要な書類は、金融機関によって多少異なりますが、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・相続人全員の戸籍謄本・払戻し手続きをする方の印鑑証明書です。

不安な方は専門家に相談してみてください。

私に相続税はかかるの?

2019-06-27

「私に相続税はかかるの?」という質問が多いので、相続税の有無について基礎的な解説をさせていただきたいとおもいます。

 

まず、相続税は全員にかかるわけではありません。一定額以上の遺産があった場合にのみかかってきます。そして、全体のおよそ1割弱の方にしかかからないといわれています。9割の方にはかかりません。当事務所に相談に来られる方も相続税がかからない方のほうが多いです。しかし、自分たちには相続税はかからないだろうと放っておくと実は相続税がかかっており後から無申告加算税や延滞税が課されてしまう可能性があるので注意してください。

 

相続税は、遺産が一定額以上の場合にのみ納めなければなりません。この一定額を「基礎控除」といいます。つまり、遺産が「基礎控除」以下なら相続税はかかりません。相続は残された家族の生活を保障するという面をもっているので、一律全員に相続税をかけると生活がままならない方もいるからです。例えば、一家の大黒柱である働き盛りの夫が当然死亡し、残された妻や幼い子供がいる場合などです。

 

相続税の「基礎控除」は以下のように算出されます。

3,000万円 + (法定相続人の数×600万円)

 

例えば法定相続人が2人なら、

3,000万円 + (法定相続人の数2×600万円)=4,200万円

遺産が4,200万円以下なら相続税はかかりません。

 

3人なら4,800万円です。

4人なら5,400万円です。

5人なら6,000万円です。

 

この「法定相続人」には養子も含まれます。ただし、養子は実子がいない場合2人までしかカウントできません。実子がいる場合は1人だけしかカウントできません。これは、養子を増やして相続税を免れようとする人がいるからです。

 

遺産が自宅と少々の預貯金だけなら相続税はかからないことが多いでしょう。もちろん、自宅が大都市にあるならそれだけで相続税がかかることもありえます。

 

 

遺産総額の計算方法ですが、簡単にいいますと亡くなった被相続人のプラス財産から借金などのマイナス財産を控除して算出します。

 

注意すべきは、民法上は遺産ではないのですが相続税がかかる財産があります。これを「みなし相続財産」といいます。このみなし相続財産を見落とさないように注意しましょう。

主なみなし相続財産

・死亡から3年以内の贈与

・遺贈

・死亡保険金(契約者・被保険者が被相続人で受取人が相続人の場合)

・死亡退職金

 

ただし、死亡保険金と死亡退職金には以下の非課税枠があります。

500万円 × 法定相続人の数

 

例えば、相続人が妻子の2人なら500万円×2=1,000万円までなら非課税です。「法定相続人」には養子も含まれます。ただし、養子は実子がいない場合2人までしかカウントできません。実子がいる場合は1人だけしかカウントできません。

生前の相続税対策として生命保険を使うとよいといわれるのは、この死亡保険金の非課税枠があることが理由の1つです。

 

 

では相続税はいくらかかるのか、計算方法が気になるところですが、長くなるのでそれは別の機会におはなしさせていただきたいとおもいます。

 

 

遺産の総額が上述の「基礎控除」を超える場合、相続税の申告をしなければなりません。配偶者の税額控除など特例により相続税額が0になる場合も「基礎控除」を超える場合は管轄の税務署に申告しなければなりません。

 

そして、相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に亡くなった方の住所地を管轄する税務署に対してしなければなりません。この期限内に申告しないと無申告加算税・延滞税などが発生してしまいます。

ご家族が亡くなられ辛い気持である上に、他の相続手続きなどもあることから、この10か月はあっという間です。ですからはやめに専門家に相談してみてください。

孫に不動産の名義変更をしたい

2019-06-11

死後の相続相談で「孫に不動産の名義変更をしたい」という方が結構いらっしゃいます。

 

まず、孫も相続人とおもわれている方がいらっしゃいますが、違います。子がいたら子は相続人ですが、孫は相続人ではありません(ただし、子が孫より先に亡くなっていたら孫が相続人です・代襲相続)。したがって、被相続人であるおじいさん・おばあさんから孫に直接相続による名義変更(所有権移転登記)はできません。

 

もし、本当に孫に名義変更したいのであれば、一旦相続人である子や妻などに名義変更(所有権移転登記)してから、さらに子から孫に贈与による名義変更(所有権移転登記)をすることになります。いわゆる生前贈与です。なぜならこの場合、被相続人であるおじいさん・おばあさんから子へと、次に子から孫へと不動産の所有権が移転しており、不動産登記簿には権利変動の過程を忠実に再現しなければならないからです。

 

ここで注意しなければならないのは、贈与税がかかる可能性があるということです。また、不動産取得税がかかる可能性もあります。さらに、相続の5倍の登録免許税がかかってきます(不動産の名義変更の際にかかる税金)。

そこで、「いま贈与した方がいいのか、あるいは贈与せず不動産の名義人が亡くなるまで待ってそのときに相続による名義変更をした方がいいのか(生前贈与すべきか否か)」という問題がでてきます。

結論からいいますとケースバイケースです。将来相続税がかかるのか、どのような財産をどれくらい持っているのか、当該不動産の評価額が上昇する見込みがある・あるいは下落する見込みがある、いま贈与しておかないと相続の時に相続人間で争いがおこりそうか、などの諸事情により結論がかわってきます。

例えば多い事例ですと、財産があまりなく相続税がかかりそうにない方であれば、相続時精算課税制度を使えば2,500万円までの贈与なら贈与税はかかりません。結果、相続税も贈与税もかからないことになるので贈与をしておくメリットがあるといえます。

ところで、「相続税よりも贈与税の方が高いから贈与するのは損」というようなことをよく耳にするとおもいます。しかし、実はこれは正しくありません。たしかに、相続税がかからず相続対策が不要な方にとってはその通りとおもわれます。しかし、財産を多く持っている方は贈与の方が有利なことが多いのです。

 

生前贈与すべきかどうかの判断は複雑で難しいので是非とも専門家に相談してみてください。

兄弟姉妹が相続人となる場合、亡くなった方の実方・養子先双方の兄弟姉妹が相続人です

2019-04-27

今月は兄弟姉妹の方が相続人である相談が多かったのですが、なぜか似たような理由で大変なことになっている方が続きました。理由は、亡くなった方が他人の養子になっていることを考慮せず相続手続きをしようとしていたからです。

 

養子縁組をすると、養親と養子の間に相続権が発生することはご存知の方が多いです。そして、子供を養子に出した後も、実の親が亡くなった場合に、養子に出した子も実親を相続することもご存知の方が多い印象です。

しかし、兄弟姉妹が相続人の場合(ある方が亡くなってその方に子・両親がいない場合)に、実方(養子に出した方)の兄弟姉妹が、養子先の兄弟姉妹も相続人になることに気づいていない方が実に多いのです。

この場合、養子先の兄弟姉妹を関与させずに実の兄弟姉妹だけで遺産分割協議をしても無効です。あらためてやり直さなければなりません。養子先の兄弟姉妹を外して遺産分割協議をし、不動産の名義変更をしようとしてもできません。銀行で亡くなった方の預金解約をしようとしても認めてくれません。

 

亡くなった兄弟姉妹の養子先の兄弟姉妹と会ったことがない相続人も多いでしょう。亡くなって相続手続きをせず何年も放っておいた場合、さらにその兄弟姉妹も亡くなりその子・孫が相続人になってしまうと相続人の数が膨大になります。相続人が20~30人になることもざらです。連絡先も知らないことが多いでしょう。こうなると大変です。相続人であれば住所を調べることは可能です。しかし、電話番号までは調べられません。住所を調べたら、手紙を出して事情を説明し、連絡をくれるのを待つしかありません。実の兄弟姉妹とも連絡がとれないこともあるのに、見ず知らずの養子先の何人もの兄弟姉妹(あるいは子・孫)とやり取りすることは大変な労力を要します。事実上、不可能なことも多いでしょう。

 

このようにならないよう相続が発生した場合、はやく相続手続きを行いましょう。身内が亡くなったばかりで精神的につらいでしょうが、放っておくと後々大変なことになります。さらには後の自分の相続人(配偶者・子)、またさらにはその先の相続人たち(孫・ひ孫・・)にも大変な迷惑をかけることになってしまいます。

 

また、逆に、養子先の兄弟姉妹が、実方の兄弟姉妹も相続人であることを見落としていることもあります。気を付けましょう。

 

 ※これらは原則です。例外もあります。例えば、養子縁組を解消していた場合や実の親族と親族関係が切れる特別養子縁組があります。

 

 

まとめ

 

兄弟姉妹が相続人となる場合、亡くなった方の実方・養子先双方の兄弟姉妹が相続人である

 

 

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