「親が亡くなる前に相続放棄したい」と相談されることが結構あります。
相続放棄とは、亡くなった者のプラスの財産とマイナス財産を含め一切の相続の権利を放棄することです。裁判所に対しその旨申述します。
親が亡くなる前に相続放棄はできるのでしょうか?
結論からいいますと、できません。
相続放棄は、被相続人が亡くなってからでないとできないのです。
相続開始後に相続放棄ができるのに、なぜ生前に相続放棄をすることはできないのでしょうか?
「相続権というのは相続が開始しないと発生しない、すなわち生前は相続権がないのでないものを放棄できない」と説明されることが多いのですが、なんだか屁理屈のようにかんじますよね。
相続権という重要な権利を他の相続人や被相続人などから放棄を強制されることを防ぐため、という理由がしっくりくるでしょうか。
実際に、親が亡くなる前に子が「相続放棄する旨を書いた書面に署名して印鑑を押す」というような念書のようなものを作成することがおこなわれています。
しかし、そのような書面に法的な効力は一切ありません。そのような書面を作成していたとしても相続する権利は失わないので、相続開始後に相続分の請求をすることができます。つまり「やっぱり遺産が欲しいから下さい」といえばもらえるのです。裁判になったとしてもそのような書面に法的な効力はないので相続分はもらえます。
まあ、このような書面を作成しておけば相続権の主張をすることにためらいを感じ心理的な効果はあるかもしれませんが。
では、親が亡くなる前に法的に一切遺産を引継がなくする方法はないのか?
実は、近い効果を得られる方法があります。
その方法は長くなるので次回のコラムでおはなしさせていただきます。
まとめ
・親の生前に相続放棄はできない
相続放棄について不安な方は専門家に相談してみてください。